うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第53回は、「非定型うつ病 回復のポイント ⑩ マインドフルネス『座る瞑想』」の続き、「非定型うつ病 回復のポイント ⑪ マインドフルネス『日常生活』」をみていきます。
目次
非定型うつ病 回復のポイント ⑪ マインドフルネス『日常生活』
マインドフルネス瞑想は、座って行う瞑想以外にも方法があります。
また、「いま」に意識を集中するマインドフルネスは、普段の生活の中でもさまざまな場面で実践できます。
「いつでもできる」マインドフルネスの考え方
座って瞑想を行うことは、マインドフルネスを身に着けるためにとても効果的な方法ですが、いつでもどこでもできるわけではありません。
しかし、これからご紹介する、「歩行瞑想」「食べる瞑想」は、「歩行」「食事」という毎日の生活の中で必ず行ってる動作中にできるものです。
外出中、多く歩かなければならなくなったときなど、くよくよせずに、いい機会だと思って歩行瞑想を行ってみましょう。
いつもの速度で歩いても、歩くこと、体のバランスに意識を向けることはできます。
マインドフルネスは、「いま」この瞬間の自分の状態を見つめることです。
そのための時間をわざわざ作らなくても、朝起きる、洗顔する、着替えをする、といった普段行っている行動や動作のどれかひとつにでも、意識を向ければマインドフルネスを実践していることになります。
例えば、朝起きて何となく気分が沈んでいる時にも、
「今、洗面所の水を出して顔を洗っています」
「今、パジャマのボタンをはずそうとしています」
というように、その時々の自分自身をモニターして、それぞれの動作の感覚を一生懸命感じ取ろうとすることで、沈んだ気持ちがいつの間にか改善することもあります。
気分が落ち着かない時、不安な気持ちから抜け出せない時、また、普段からある日課を行うと決めて、マインドフルネスの考え方を取り入れていきましょう。
マインドフルネスの瞑想法
自分の行いやすい方法を日常に取り入れましょう。
食べる瞑想(マインドフルネススウィーティング)
食事中は、テレビを見たり、おしゃべりをしたりして、食べることに集中している人は少ないでしょう。
食べる瞑想では、他のことにとらわれないようにし、食べ物をよく観察して、口に入れた時、飲み込んでいる時などの感覚や心の状態を観察します。
ヨーガ瞑想(マインドフルネスヨーガ)
ヨーガで体をほぐしながら、呼吸や体の状態、感覚に注意を向けます。
ポーズをとることよりも、自分の体と向き合い、筋肉の動き、状態の変化などに気づくことが大切です。
無理なポーズをする必要はなく、普段は動かさない部分を意識的に動かして、脳内物質の活性化を促します。
歩行瞑想(ウォーキングメディテーション)
「いま、歩いている」ということに意識を向けて、一歩一歩ゆっくり歩きます。
床や地面につくときの足の裏の感じ、体重が移動する感じなど、足や体の感覚に注意を集中しましょう。
外で行うときにも、周囲の景色にとらわれないようにしましょう。
ボディスキャン
仰向けに寝て、自分の体の部分部分に注意を向けていきます。
左の仰向けに寝て、自分の体の部分部分に注意を向けていきます。
左足の指先、左の足の裏、かかと、というように、細かく部分をわけて、順番に意識を集中し、時間をかけて全身を観察します。
日常生活では感じられない、現在の体の状態に気づくでしょう。
マインドフルネスの3大要素
マインドフルネスには、大きく3つの要素があります。
この3つをおさえて行います。
感覚を評価したり、判断する必要はありません。
- ゆっくりした動作
- 自分のいまの状態を常にモニターする
- その時、その時の感覚の変化を感じ取る
次回、「非定型うつ病 回復のポイント ⑫ 内観法」へ続く